避妊・去勢<メス編>

Spay,Castration<Female>

避妊<メス編>

予防獣医学的な効果も期待されます

卵巣機能と乳がんの密接な関係

卵巣機能と乳がんの関係は明らかになっています。メス犬の乳がんの発生率は、初回発情前に避妊手術を実施している場合で0.5%、初回発情後で8%、2回以上の発情で26%と報告されています。

メス猫の乳がんの発生率は、6ヵ月齢以前に避妊手術を実施している場合で9%、7~12ヵ月齢で14%、13~24ヵ月齢で89%、24ヵ月齢以上では無効であったと報告されています。

避妊していない猫は、避妊している猫の7倍も乳腺腫瘍のリスクが高いという報告もあります。乳がんの悪性度は、犬で50%、猫では80%にも達します。

近年の犬猫の平均寿命は延びており、がん年齢まで生きられるとすれば、明らかな発がんの原因は若いうちに除去しておくことが、犬猫にとって恩恵のある処置であるといえるのではないでしょうか。

  • 17才6ヵ月のトイプードル

    17才6ヵ月のトイプードル

    右卵巣嚢腫と子宮蓄膿症を併発し、高齢ハイリスクの中、摘出手術実施。

  • 7才マルチーズ

    7才マルチーズ

    子宮蓄膿症の摘出子宮

    子宮嚢腫は、一部子宮壁が脆弱化し破裂寸前でした。

  • 15才日本猫 乳腺腫瘍

    15才日本猫 乳腺腫瘍

    腫瘍の拡大により、皮膚は一部潰瘍化し、お腹の中まで腫瘍が浸潤していました。

いつ手術をおこなうべきか<メス編>

犬で6~12ヶ月齢、猫では9ヶ月齢とされています

ほとんどの犬は、生後6~8ヶ月齢時に初回発情を迎え、猫は6~9ヶ月齢時に性成熟に達します。

現在では、乳腺腫瘍の発生率を下げられることから、メス犬の場合は、初回発情前の早期避妊手術が推奨されています。メス猫の場合は、生後5~6ヶ月齢程度での手術が推奨されています。

発情を繰り返すごとに、性ホルモンの影響を受け乳腺腫瘍のリスクは増大していきます。

当院では、メス犬の場合、遅くとも初回発情後までの間に手術し、メス猫の場合は5~7ヶ月齢程度での手術を推奨しています。

早すぎる避妊手術は、発育不良、尿失禁、排尿障害などを起こすとされていましたが、現在では避妊手術との関連性は否定されています。

インプラント・肥満について<メス編>

当院ではインプラントを使用しません。

インプラントは、一時的な発情抑制を希望するが、将来は妊娠させたいという場合に使用されます。

黄体ホルモンを持続的に強制投与することにより、偽妊娠状態をつくり、発情を止めます。

正しく使用すれば、効果的な発情抑制が得られますが、通常は2年間程度で交換が必要になります。

長期間使用すると、子宮蓄膿症や子宮内膜炎および乳腺腫瘍などの多くの合併症が報告されているため、当院では一切使用していません。避妊手術が第1選択となります。

避妊手術後は、食欲抑制効果のあるエストロジェンの分泌がなくなるため、食欲増進により肥満の傾向が強くなります。避妊手術後は、生体に必要なカロリーが15%~25%減少するため、同じ食事を同じ量与えていると肥満になりやすくなります。

当院では、避妊手術を行った後の犬猫専用のフードを推奨しています。

発情後に食事を食べたがらなくなったり、食べムラが出たりなどの経験はありませんか?

これは性ホルモンのいたずらであって病気ではなく、正常な生理現象なのです。

インプラントについては、しっかりとリスクを把握した上で使用することが望ましいでしょう。

  • 17才6ヶ月のトイプードル

    17才6ヶ月のトイプードル

    右卵巣嚢腫と子宮蓄膿症を併発し、高齢ハイリスクの中、摘出手術実施。

  • 7才マルチーズ

    7才マルチーズ

    長期間インプラントを使用した子宮蓄膿症の摘出子宮

    子宮嚢腫は、一部子宮壁が脆弱化し破裂寸前でした。