SURGERY外科診察

埼玉県ふじみ野市の動物病院

腔鏡下避妊手術

一生に一度の大切な手術は、痛み・負担の少ない選択を

腹膣鏡下避妊手術とは、避妊・去勢手術の手段として近年注目されている、手術方法の一つです。
動物への痛みや体への負担が少なく、早期に退院出来ることが最大の利点と言われています。

当院では、2019年5月に内視鏡システムを導入以降、400件(犬の避妊手術の99%以上:2024年12月現在)の腹腔鏡下避妊手術を実施しました。
超大型犬から小型犬および猫までフルサイズに適応しています。
こちらでは、開腹手術との違いや、腹腔鏡手術の特徴を詳しく解説します。

腹腔鏡手術とは?

従来大きく切開をしていた様々な手術が、2-10mmの小さな切開を数ヵ所行うことで出来る方法です。切開部にはトロッカーと呼ばれる筒状の器具を設置し、トロッカーを通してお腹の中に専用器具を入れて、お腹の中をモニター越しに確認しながら手術をします。

  • 腹腔鏡手術とは?
  • 腹腔鏡手術とは?

腹腔鏡手術の特徴

メリット

  • 手術の傷口が小さい(2-10mm、小型犬の場合は3mmが2カ所、中型犬以上は5mmが2〜3カ所)
  • 痛みが少ない
  • 術後の回復が早い
  • 手術術時間が短い
  • 繊細な手術が可能
  • 日帰り手術が可能(避妊手術や臓器生検の場合)

デメリット

  • 特殊な専門設備が必要
  • 高度な専門技術や知識が必要
  • 一般の手術と比較して人手が必要
  • 適応が限られる
  • 手術費用が少し高くなる

痛みが少なくて術後回復が早い理由

避妊手術の対象となる卵巣は、靭帯組織によって身体の奥深くに固定されています。開腹手術の場合は、傷をなるべく小さくして、体外に卵巣を強く引っ張り出して手術を行うため、靭帯組織が引き伸ばされ痛みが強くなるとともに、術後の不快感が高まります。

一方、腹腔鏡避妊手術の場合は、炭酸ガスでお腹を膨らませて、高解像度の内視鏡でお腹の中を丁寧に観察しながら、自然な状態に近いところで手術をするので、痛み負担が少なく術後回復も早くなると言われています。

  • 腹腔鏡手術の特徴
  • 腹腔鏡手術の特徴

    (左)アラスカンマラミュート 43kg
    (右)チワワ 2.3kg

適応となる手術

※病態によって、適応とならないケースがあります。

完全腹腔鏡手術完全にお腹の中で行う手術

  • 避妊手術
  • 腹腔内陰睾時の去勢手術
  • 胆のう摘出術
  • 副腎腫瘍摘出術
  • 予防的胃腹壁固定術 臓器生検(肝臓・膵臓など)

腹腔鏡補助下手術腹腔鏡を補助的に利用して、傷を小さく抑えながら行う手術

  • 子宮蓄膿症
  • 膀胱結石摘出術
  • 門脈体循環シャント
  • 臓器生検(小腸・大腸など)

開腹手術と腹膣鏡下避妊手術の違い

※横にスクロールでご覧いただけます。

開腹手術 腹膣手術
傷の大きさ 熟練度によって傷を小さくすることは可能 2mm~5mm程度の傷が2〜3ヵ所
痛み 卵巣を体外に引っ張り出すため、靭帯組織にテンションがかかり痛みが強い 体内の自然な位置で卵巣を切除するため、痛みが少ない
安全性 体内で出血や臓器に問題があっても確認出来ない 映像で体内の様子を観察することが出来る
動物への負担 大きい 小さい
入院 必要 手術当日に退院可能
手術費用 当院規定の通常料金 内視鏡機械が高額なため、高くなる