再生医療(がん免疫細胞療法)Cancer immune cell therapy

再生医療(細胞治療)

自分自身の細胞を体外で培養し、病気や怪我の治療に役立てる治療法を再生医療(細胞治療)と言います。
これまで治療法が存在しなかった病気などに対する新しい治療法として注目され、世界中で研究が行われています。

ヒト医療においては、厚生労働省の先進医療に認定されており、すでに大学病院や医療機関などの臨床現場おいて利用が始まっている治療方法でもあります。

再生医療は、本人から採取した細胞を体の外で増やし、生理活性物質や細胞が増えるための足場を加えることで、目的にあった細胞に変化(分化)させた後に、本人に移植することが基本になります。

再生医療(細胞治療)

がん治療に有効な新しい療法

免疫細胞療法とは?

動物には生まれつき免疫とよばれる働きが備わっており、体の中に侵入した細菌やウイルスを、体の中から取り除く働きがあります。
予防注射もこの原理を応用したもので、例えば「はしか」の予防注射を行って免疫をつけると「はしか」のウイルスは体の中に入ってこられなくなります(排除されます)。

体の免疫は、「がん」が出来たり、転移したりすることとも、密接な関係があります。
体の免疫力が低下した状態、例えば後天性の免疫不全症候群(エイズ)や薬によって生じる免疫の抑制された体の状態では、「がん」が出来やすくなることが知られています。
「がん」は通常、手術や抗がん剤、放射線で取り除こうとするのが一般的ですが、近年はこれとは別に、動物の体に生まれつき備わっている免疫の力を利用したり、免疫の力を強めたりすることで「がん」の発症や進展を抑えようとすることが試みられています。
これが免疫療法と呼ばれているものです。免疫療法には特異的免疫療法と非特異的免疫療法というものがあります。

4つのメリット

自己活性化リンパ球の投与する免疫細胞療法のメリットをご紹介いたします。

  1. 副作用がほとんどない
    自らのリンパ球を増殖して投与するので、拒絶反応など、重篤な副作用の心配がほとんどありません。どのような段階のがんであっても、また、患者様の体力が低下していたり、「がん」の進行度合いの有無にかかわらず、安心して使うことが出来ます。

    また、抗がん剤や放射線療法との併用効果についても研究されており、免疫力強化や副作用の軽減などが報告されています。患者様にとって最大の利点です。

  2. 延命効果が見られる
    現在、免疫療法を行っている患者様の中には「末期がん」と呼ばれる段階の方が多くいらっしゃいます。その半数以上は、体が弱りきっていたり「がん」の転移が広範囲に及んでいたりして、手術療法や放射線療法などの治療法を選択出来ません。

    抗ガン剤などで、体を痛めつけるのではなく、なるべく「がん」を大きくしないことに主眼をおいた治療法になります。

  3. QOLが上がる
    「がん」が進行すると痛みや貧血など、患者様にとって大変つらい自覚症状が現れますが、免疫療法にはこうした苦痛をやわらげる作用があります。自覚症状が改善されることで、たとえ体内に「がん」が残っていたとしても、患者様は通常の生活を送ることが出来るようになります。

    食欲がなく体重の減少が見られるような症例でも、リンパ球投与後に食欲が戻り体重が増加するような効果が期待出来ます。

  4. 他の療法との相乗効果
    手術後の再発予防のみならず、他の治療方法との併用による相乗効果が期待出来ます。

    化学療法、放射線療法、さらには漢方療法、温熱療法などの様々な治療法との併用で効果を上げている症例があります。

    他の療法による副作用の軽減といった効果も期待出来ます。

がん免疫細胞療法とその種類

動物には病気や怪我に対して自分で治そうとする免疫力(白血球のリンパ球)という自然治癒力が備わっており、体内に出来たがん細胞や体の中に侵入した細菌やウイルスを攻撃して死滅させます。

免疫細胞療法は、このような生まれつき備わっている免疫の力を利用したり、免疫の力を強めたりすることで、がんの発症や進行を抑える治療方法です。
がんの治療には、外科手術・化学療法・放射線療法の三大療法がこれまで主流を占めてきました。

これに継ぐ第4の療法として、またがん治療特有の苦痛を伴わない普通の生活を送れるようなQOL(Quality of Life)の改善を高める治療法として、がん免疫療法は世界中で研究され、臨床的な効果が得られる治療法になりました。

がん免疫細胞療法とその種類

活性化リンパ球(CAT)療法

イヌ、ネコの血液(10-12ml)からリンパ球を回収し、薬剤を加えてリンパ球の活性化・増殖を行ないます。
2週間後、およそ1,000倍に増えたリンパ球を洗浄・回収し、点滴で体内に戻します。

活性化リンパ球(CAT)療法

アルファ樹状細胞(αDC)療法

樹状細胞は免疫細胞のひとつでがんを攻撃する主役であるリンパ球に「攻撃すべきがん」を教える役割を果たす細胞です。活性化した樹状細胞は、自らもがんを攻撃するようになります。この樹状細胞と活性化して1,000倍に増やしたリンパ球を投与することで、がん細胞に対してより特異的に攻撃させる治療です。